エンジニア悲鳴! SESの多重下請けが引き起こす問題点と解決策

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こんな方に向けての記事です。

  • 客先常駐の下請けで働いている人
  • 客先常駐で働くのに疲れた人

「納期に追われ、残業は当たり前。給料は安いのに責任は重い…」
IT業界で働くエンジニアたちの悲痛な叫びが聞こえてきます。

その背景には、SES(システムエンジニアリングサービス)業界に蔓延する多重下請け構造が深く関わっています
多重下請けは、エンジニアの働き方を大きく歪め、IT業界全体の活性化を阻む要因となっています。

この記事では、多重下請けがもたらす問題点と、
この深刻な状況を改善するための具体的な解決策について深く掘り下げていきます。

多重下請けはいまだに根深い問題ですね

目次

多重下請け構造とは何か?

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IT業界に蔓延する複雑な構造

多重下請け構造とは、一つのプロジェクトや製品を完成させるために、複数の企業が関わり、
その下請け企業がさらに別の企業を下請けとして利用するような構造を指します。
特にIT業界では、システム開発やソフトウェア開発の現場でよく見られる現象です。

多重下請け構造が生まれる背景

  • 大規模プロジェクトの複雑化:
    大規模なシステム開発では、専門性の高い技術が必要となり、一つの企業で全ての工程を担うことが難しくなる。
  • コスト削減:
    各企業が得意とする部分に特化することで、コスト削減を図ることができる。
  • リスク分散:
    一つの企業にリスクが集中することを防ぐ。
  • 人材の柔軟な調達:
    需要に応じて、必要なスキルを持つ人材を迅速に調達できる。

多重下請け構造の問題点

  • コミュニケーションの円滑化の阻害:
    多層的な構造により、情報伝達のミスや遅延が発生しやすく、プロジェクトの品質低下に繋がる。
  • コストの増大:
    各層で利益が上乗せされるため、最終的な製品やサービスのコストが高くなる。
  • 責任の所在が曖昧:
    問題が発生した場合、責任の所在が曖昧になり、解決が遅れる。
  • エンジニアの働き方への影響:
    低賃金、長時間労働、キャリアアップの阻害など、エンジニアの働き方を悪化させる。
  • 技術革新の阻害:
    新しい技術への投資が抑制され、IT業界全体の技術革新を遅らせる。

多重下請け問題の根深い原因

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多重下請け構造がIT業界に根深く存在する背景には、様々な要因が複雑に絡み合っています
以下に、その主な原因を詳しく解説します。

IT業界の構造的な問題

  • プロジェクトの複雑化:
    ITシステムは日々複雑化しており、一つの企業で全ての開発工程を担うことが困難になっています。
  • 人材の流動性:
    IT業界は技術の進歩が早く、常に新しいスキルが求められます。
    そのため、企業は必要なスキルを持つ人材を柔軟に確保するために、外部の企業に委託するケースが増えています。
  • コスト削減:
    各企業が得意とする部分に特化することで、コスト削減を図ることができます。

発注企業側の問題

  • 短期的な利益追求:
    発注企業は、短期的な利益を優先し、コスト削減を最優先に考える傾向があります。
  • リスク回避:
    不確実性の高いプロジェクトにおいて、リスクを分散するために、複数の企業に発注することがあります。
  • 専門性の不足:
    ITに関する専門知識が不足している場合、適切な発注先を選定できず、
    多重下請け構造を助長してしまうことがあります。

受注企業側の問題

  • 受注競争の激化:
    受注競争が激化しており、企業は利益を確保するために、より低い価格で受注せざるを得ない状況にあります。
  • 規模の小さい企業が多い:
    IT業界には中小企業が多く、大規模なプロジェクトに対応するために、複数の企業で共同で受注することが必要になります。
  • 技術力の不足:
    特定の技術に特化した中小企業は、大規模なシステム開発に必要な全ての技術を持っているわけではありません。

法規制の問題

  • 下請法の抜け穴:
    請法は、中小企業の保護を目的としていますが、IT業界の特殊な状況に対応しきれていない部分があります。
  • 規制の緩さ:
    IT業界の規制は、他の業界に比べて緩い傾向があり、多重下請け構造が野放しにされている側面もあります。

多重下請け構造の解決に向けて

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企業側の取り組み

発注企業と受注企業の双方において、以下の取り組みが求められます。

直接雇用とパートナーシップの強化

発注企業は、コアとなる業務を自社で担い、専門性の高い業務を信頼できるパートナー企業に委託するといった、
ハイブリッドな体制を構築することが有効です。

これにより、中間マージンを削減し、エンジニアの待遇改善に繋げることができます。
また、受注企業との長期的なパートナーシップを構築することで、お互いの信頼関係を深め、
共同でプロジェクトに取り組むことができます。

人材育成と働き方改革

受注企業は、エンジニアのスキルアップを支援するための研修プログラムやキャリアパスを用意し、
働き方改革を推進することで、従業員のモチベーション向上と離職率の低下を図る必要があります

サプライチェーンの透明化

サプライチェーン全体を可視化し、どの企業がどのような役割を担っているのかを明確にすることで、
責任の所在を明確にし、問題発生時の対応を迅速化できます

政府・業界団体の取り組み

政府や業界団体は、以下の施策を推進することで、多重下請け問題の解決を後押しすることができます。

法規制の強化と柔軟な対応

下請法の改正や、IT業界に特化した新たな法規制を導入することで、
中小企業の保護を強化し、不当な取引を防止する必要があります。
同時に、IT業界のダイナミックな変化に対応できるよう、柔軟な規制設計が求められます

税制優遇措置とスキルアップ支援

直接雇用を増やす企業に対する税制優遇措置を導入したり、
エンジニアのスキルアップを支援するための教育プログラムや資金支援を行うことで、
企業の負担を軽減し、人材育成を促進することができます

新しいビジネスモデルの創出

プラットフォーム型サービスの普及を促進し、エンジニアと企業を直接繋ぐ仕組みを構築することで、
中間マージンを削減し、より効率的なマッチングを実現することができます。

エンジニアの側で出来ること

エンジニア自身も、多重下請け問題の解決に向けて、以下の行動を起こすことができます。

スキルアップとキャリアアップ

常に新しい技術を学び、スキルアップすることで、市場価値を高め、より良い労働条件を求めることができます

コミュニティ形成と情報共有

同僚や他のエンジニアと連携し、労働環境の改善を求めるためのコミュニティを形成したり、
情報共有を行うことで、問題意識を共有し、声を上げることができます

転職を検討する

現状の労働環境に不満がある場合は、より良い労働条件を求めて、積極的に転職活動を行うことも一つの選択肢です。

わたしの場合は、客先常駐の会社で一番下の商流で働いていたのですが、
その環境に疲弊した結果、社内SEに転職し、多重下請けから離れることが出来ました。

社内SEへの転職を検討している方は、下記の記事も参考にしてください。

まとめ

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多重下請け問題は、IT業界の抱える深刻な問題であり、早急な解決が求められます。

SES業界に蔓延する多重下請け構造は、エンジニアの働き方を大きく歪め、
IT業界全体の活性化を阻む要因となっています。

多重下請け問題の解決は、一朝一夕にはできませんが、企業、エンジニア一人ひとりが問題意識を持ち、
共に取り組むことで、より良いIT業界を築くことができるでしょう。

IT業界がよりよくなることを祈っています

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